「無駄のない授業」で育った人材

「高校生奮闘記(id:lonlon2007)」さんで、「無駄だらけの現代授業を最適化しよう」というエントリーがありました。

 無駄の多い板書中心の授業を廃して、プロジェクターを中心に授業を進め、授業中にネット接続を可能にして検索をできるようにし、さらにすべての参加者についてチャット可能にして授業中に情報交換できるようにせよとのことらしいです。

 これ自体は予備校のサテライト授業*1をCSで複数人で受信しながら自宅のPCとTVを前にして授業を受け、他の受信者とチャットしてればできるんじゃないかと思うのですが、通常の通信授業以上の効果は出ないように思います。生徒の回答に対する反応はチューター雇えばできますね。

 たしかに今の教育関係者は周囲からあれこれ言及されることに対して異様なまでに恐れているから、コンピュータリテラシーとか、Web2.0だとかぶつけられるとハイハイ言うことを聞いてしまいそうな気もするのだけど、おそらく費用と労力を掛けても所期の効果は得られないでしょうね。なにぶん高校生奮闘記さんも指摘しているとおり教育の現場はコンピュータリテラシーが(他業界に比べれば)低そうですからね*2。そういう意味ではコンピュータリテラシーだけは高いワーキングプアの失業対策にはなるかも知れません。

 また「高校生奮闘記」さんはこうも言っています。

先生側も生徒側もコンピュータリテラシーのある層(ちなみにここで言うコンピューターリテラシーっていうのはチャットとかでの議論力も含む)、感覚的に言えばコンピューターリテラシー偏差値60以上の層をすくいとってむちゃくちゃ最適化した授業をしてみたい。そういう塾を作ってみたいと、最近思う。私塾イズムってやつだ。

 たしかにコンピュータリテラシー偏差値というものが出せるならそれは面白いと思います。コンピュータでのプレゼンに対してコンピュータ偏差値を逆に掛ければ、コンピュータリテラシーに影響されないプレゼン評価が得られるからです。チャット番長やプレゼン番長を企業や研究室から引く手あまただとも思えないですし。「高校生奮闘記」さんが私塾をつくって卒業生を世に送り出すのはいいけれど、出した人材が使い物にならないといったことにはなって欲しくありません。今ですらPCなんて「使えて当たり前」なんですから。*3

 パワーポイントがないとプレゼンできない営業、オンラインセッションじゃないと自己主張できないRPGプレイヤー*4はもううんざりなので、ついつい勢いに飽かせて書いてしまいました。お耳汚し御免。

*1:サテライト授業自体は20年以上前からあるし、チャットも回線数さえ確保すれば実はパソコン通信レベルでもできるので、WWWでのデータ検索以外は1990年頃の段階で既に実現可能

*2:ワープロの導入はいち早かったのですが、意外とその影響かもしれませんね

*3:それと教育段階で「待つ」という経験が欠落すると意外と深刻な影響があるかもしれない。

*4:時としてGMも