秋葉原通り魔事件続報-これはワーキングプアの問題だ

 昨日のテレビ報道では「職業不詳」などと一部伏せられた形でしたが、今朝発売のスポーツ新聞に名前が出てしまったことよってTV各局がそれに追随して報道する形になり派遣大手「日研総業」の名前が表に出てきました。日研総業が加藤容疑者を派遣していた関東自動車工業東富士総合センター(静岡県裾野市)では派遣社員の契約を今月いっぱいで打ち切る決定を対象者に伝えていたという情報も入っています。今回の事件はワーキングプアの生活苦による自棄からくる犯行ではないかと考えられます。本気で再発防止を考えるのであれば、オタク系情報の統制や、刃物所持規制などの卑小な問題に拘泥することなく、もっと大きな社会不安の問題として考える必要があるでしょう。この事件の切っ掛けになったと思われる関東自動車工業日研総業だけに原因を追及するすることは論外だとは思いますが、ワーキングプア派遣労働者の問題にメスを入れなければこうした事件はまた起こるでしょう。犯人自身が「誰でもよかった」といっているようにそのときの標的は秋葉原とは限りません。新宿渋谷六本木などの盛り場かもしれないし、どこにでもある住宅街かもしれません。マスコミ各社の報道姿勢には問題がありますが*1、今朝になってからの報道には見る限りオタク叩きのような言及はあまりないようです。おそらく該当するような証言、材料が得られなかったものと思われます。

【秋葉原通り魔事件】犯行使用のナイフとは別の刃物も所持 過去30年で被害最悪か(産経新聞)

 東京・秋葉原の電気街で8日午後、赤信号を無視して突っ込んできたトラックに横断者がはねられ、降りてきた運転手に通行人がサバイバルナイフで次々と刺された事件で、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された加藤智大容疑者(25)が、犯行に使われたナイフのほかに、もう1本別の刃物を所持していたことが、警視庁捜査1課と万世橋署の調べで分かった。

 捜査1課は目撃者などから聴取。通り魔事件としては過去30年で最悪の被害とみられており、一連の犯行の詳細を調べている。これまでの調べでは、加藤容疑者は8日午後0時半ごろ、東京都千代田区外神田の交差点で、横断者3人程度をはねた後、10メートル走行して停車。車から降り、刃渡り約13センチのサバイバルナイフを振り回しながら交差点に戻り、歩行者天国で交通整理などにあたっていた男性警察官を刺した。警察官は制止しようとして刺されたとみられる。さらに近くの買い物客らを次々と刺しながら、歩行者天国を逃走したが、騒ぎを聞きつけた近くの交番の警察官ら3人が路地に追い込んで拳銃を構えるなどして刃物を捨てるように指示し、取り押さえたという。

 加藤容疑者はレンタカーを借り、住んでいた静岡県裾野市を8日朝に出発して秋葉原にやってきたと説明。「生活に疲れ、世の中がいやになった。人を殺すために秋葉原に来た。誰でもよかった」などと供述している。関係者によると、加藤容疑者は昨年11月に製造業派遣大手の日研総業に登録、静岡県内の自動車部品工場に派遣され働いていたという。事件では17人がけがを負って搬送され、うち北区浮間の武藤舞さん(21)ら男女7人が死亡した。


 最近報道されるワーキングプアニートの凶悪犯についての報道について思うことは、20代30代の貧困層がゲームやアニメなどに関する物品を所持している率が高いのは当然のことなのではないか、ということです。親掛かりの時期に家族から買ってもらったアニメやゲームのメディアがあり、それに対して社会に出てからは貧困のために新しい趣味に関する情報や手段を得ることが出来ないだけなのではないか、ということです。自由になるお金が殆ど無い時点でゴルフや飲み歩き、旅行、芸事などの「一般的な」趣味に興じる余裕が無いために未成年のころに手に入れたものだけが今も(捨てられずに)残っている事なのではないかと考えます。これは大人になっても積極的に財産と時間をオタク趣味に傾けている者とは明確に区別しないと本質を見失うと考えます。

*1:TVニュースで「アキバにいそうな人」というテロップが流れているにもかかわらず、容疑者を知る人へのインタビューでは「おとなしい人」以上のコメントが無かったりした。おそらく先にテロップを作ってしまったのではないかと推察される……確認したところテロップの入った青森の知人が語るシーンではなく、その前の現場の通行人にインタビューするシーンで言及があったようでした。ですが通行人の証言は「普通に秋葉原を歩いていそうなごく普通の人」というニュアンスであり、テロップの印象とは明らかに違うものでした。